将来の五輪選手を目指して。飛込競技の強化合宿に挑む子供たちの2年間(中国)
中国安徽省の鞍山市では、周辺の村々から集められた6~10歳の子供たちが飛込競技の練習に取り組むため、2年の歳月をかけて合宿を行っています。
目指すところは国を代表する選手となること。
しかしその道はとても狭く厳しいものとなっています。
ほんのわずかなチャンスをものにするため、遊びたい盛りの子供たちが特訓に耐え続ける理由とは何なのでしょうか。
子供たちを教えるコーチのHu Qijunさん(56歳)は飛込競技の元選手で、この道30年のベテラン。普段は優しい父親的な存在ですがトレーニングの時間はとても厳しい一面を見せます。
親元を離れ合宿をしながら特訓を積む子供たちに遊ぶ時間はほとんどありません。
午前中は練習。昼食と昼寝の後はさらに練習するか勉強の時間。夜に少しだけテレビを見ることが許されます。そして夜10時には就寝。
このサイクルが延々と2年間続くのです。
(着水した時にできる背中のアザ)
彼らの当面の目標は2014年9月6日に行われる地域のスポーツ大会。いわばこれが2年間の努力の結果を試す「最終テスト」となります。
テストにパスしてさらに先に進むか、パスできずに家に帰るか。
そのどちらかしか道は残されません。
(コーチの奥さんや娘さんが食事やそのほかの世話をしてくれます。)
彼らは代表選手となって国のために活躍することを目指しています。
勝ち残っていくことは、体つきや身体能力のみならず鍛え抜かれたスキルと才能によるところが大きいです。
例え地方大会をパスして強化チームに参加できたとしても、能力が追いつかなければ最初の数カ月で断念して家に帰されることになります。
仮に強化チームに残れたとしても、国の代表チームに入るためにさらに小さなチャンスを狙って戦いを続けないといけません。
まさしく狭き門に子供たちは挑んでいるわけですが、コーチのHuさんはこう期待を寄せています。
「この子供たちの何人かは強化チームに入って、そのうちの一人か二人はオリンピックに行けるかもしれません。いくつもの難関がある中国ではそう簡単に良い選手にはなれません。だけどこの子たちはベストを尽くしてがんばってます。」
オリンピックで金メダルを獲得した場合、国から多額の報奨金が出るばかりでなく、様々な栄誉を手にすることができます。
中国では、このようなごくわずかな望みを託して子供たちを強化合宿へ出す例も少なくありません。
オリンピックに出場してメダルを獲得する選手たちはとても輝いています。
しかしその影には、小さい頃から過酷な特訓を積んできた数えきれないほどの子供たちがいるわけです。
「これがスポーツのルールなんです。」
そう語るHuコーチ。
大会が終わったら、2年間一緒に過ごしたこの子たちと別れを告げることになります。
そして新たな子供たちを迎え入れ、再び過酷な2年が始まります。
参照元:
Life in a youth diving camp
青奥策划:举国体制下的跳水少年
中国の五輪金メダリスト、報奨金600万円など手厚いご褒美
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